参加記 ラスト
研修会終了後、様々な形で参加くださった方々から感想、ご意見をいただきました。ブログにも何回かにわたり参加記を掲載してきました。本来ならば、参加したすべての方々のものを紹介したかったのですが、紙面(いや画面ですね)の都合から一部の方々といたしました。ありがとうございました。
昨日は「記録」というテーマでブログを掲載しましたが、参加者の感想・ご意見も貴重な記録のひとつです。主催者はアンケート回答や参加記から反省点や次回のテーマ、プログラム構成のヒントを得ることができます。また、病院図書室の現状を垣間見ることもできます。率直なご意見をいただくことで、より身近な研修会開催につながります。
新任担当者からの参加記、ラストです。
先ず、今回の助成事業申請へ向けて奔走して下さった役員の方々に厚く御礼を申し上げます。
私は岡山県北の津山市(人口約10万人)にある単科の精神科病院(300床)に勤務致しておりますが、主たる業務は秘書です。図書室は兼務であるために「数十年」の勤続と聞けば、日々に努力研鑽を積まれている皆様方にとってはさぞ、「どうなってるの」と疑問にお思いのことと存じます。そうなのです。だからこそ今回の受講は、私にとって原点を振り返ると申しますか、足下を見直すという意味で非常に貴重な経験でした。
いずれの病院でも、否、どこに身を置いておられる方も同じなのですけれども、常に念頭にはレベルアップということを置きながら日々の業務を遂行していらっしゃると御推察致します。
JHLAから研修会にて配布された「病院図書室機能評価項目表」は「一つの指針」として用いるようにと会長からお言葉を給わりました、これは病院図書室のレベルを呈示して頂いたと受けとめております。この資料を礎として病院医療機能評価受審の際に、やはり「日本病院ライブラリー協会」の会員病院だと言われるように今一つ現在の業務を見直して、少しでも図書管理のレベルアップにつなげて参りたいと臨んだ次第です。
最後になりましたが、今回の受講を快く受け入れて下さいました運営委員の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。(M.T.)
記録
「何でもとっておきたい」「捨てられない」というのは、図書館員に共通の性格に思うのですがどうでしょうか。
病院の記念誌を編集中です。編集作業の中で、どうしてこの記録が残っていないのかと何度も壁にぶつかって跳ね返されているこのごろのせいか記録に残しておくことの大切さを強く感じます。
JHLAの活動も総会議事、役員会・委員会議事録などのように書類として残されている記録があります。機関誌『ほすぴたる らいぶらりあん』は記録としての重要な役割も果たしています。
研修会を記録しておく中で、写真は欠かせないものです。新任担当者研修会で2日間にわたり大活躍をしてくださったJHLAの名カメラマン登場です。ブログや機関誌、ホームページのメモリアル(会員ページ)に掲載された写真はカメラマンの撮影によるものです。座る暇もなくシャッターを押す緊張の一瞬の連続だったことと思います。ありがとうございました。
スタッフから
研修会では、写真撮影を担当しました。
朝の準備から受付風景、研修会中の様子、全体写真、昼食風景、バス移動・図書館見学、夕食会、修了証の授与など、できる限りすべての記録を撮ろうとシャッターを切り続けました。
普段の研修会では会に参加するのみだったので、これほどさまざまな準備作業が必要なことを改めて感じました。今回はパソコン演習もあり、準備はいつもより入念な打ち合わせが必要だったと思いますが、各担当者が臨機応変に作業し、朝の短い時間でも円滑に準備が整っていく様を目の当たりにすることができたこともよい経験でした。
また、掲示板や出版物のコーナーや受付等に温かみのある掲示物やわかりやすく工夫した表示など、初めて日本病院ライブラリー協会を知る研修会参加の皆様方への配慮を随所に感じることができ、これもまた、写真撮影を担当することにより知ることができたと思います。
一日ほとんど座る暇もなく、常にシャッターチャンスを逃さないようにしているのは大変な作業でしたが、いろいろな場面でいい表情に出会えると、この研修会を企画し、それに参加できたことはとてもよかったと思いました。(E.Y.)
コンソーシアム
用語の解説、2回目は電子ジャーナルの案内によく登場する“コンソーシアム”についてです。
JHLAでも機関会員を対象とした提案を積極的に進めています。
では、コンソーシアムとは?
コンソーシアム(Consortium)は、ラテン語で提携、共同、団体を意味しています。研修会でも医学用語について学びましたが、con(一緒に)とsors(運命)から成る語で、語源はConsors(パートナー)からです。
2つ以上の個人、企業などが共同の目的や、共通の目標に向かって結成する団体をいいます。
病院図書室でのコンソーシアムというと、複数の施設が電子情報(主にオンラインジャーナル)の購入・利用契約を出版元やデータベース業者と共同で結び運用しているものといいかえてもよいかもしれません。
コンソーシアムに参加することにより、
・同一商品をより安価で入手することができる
・団結することで、交渉力が強化される
という利点があります。しかし、コンソーシアムで提供されるオンラインジャーナルはパッケージ商品が中心です。
オンラインジャーナルのパッケージ商品は、単独で購入するよりも同じ価格で多くのオンラインジャーナルが利用できるメリットはありますが、パッケージタイトルが固定されているので、利用のないタイトルも含まれるムダもあり、結局、経費安とはならないこともあります。
コンソーシアムへの参加に当たっては、それぞれ自室の購読雑誌の構成や利用状況を考慮し、検討されるのがよいと思われます。
JHLAホームページ会員向け、ほすぴたるらいぶらりあん34巻3号224-226で、2010年度のコンソーシアムを紹介していますので、ご覧ください。
患者図書室
病院図書室とは「病院において、医師・看護師・コメディカルを初めとする医療従事者に、医学・医療情報の提供を行うことを基本とする図書室」とJHLA発行の『病院図書室デスクマニュアル』では定義をしています。
医療界をとりまく様々な変化の中で、患者や患者家族・一般市民へと病院図書室でも利用対象者が広がりをみせています。医療従事者へのサービスとは異なり、医療知識をもたない利用者に医学・医療情報を提供することの難しさを感じる昨今です。そんな担当者をサポートするためにJHLAでは患者医療図書サービス支援事業を展開しています。新任担当者研修会でも、患者図書サービスを開始したいという声が沢山聞かれました。
これからの病院図書室には、医療従事者へのサービスとともに患者・患者家族へのサービスが求められます。より良いサービスを目指して何が必要かを学んでいきたいものです。新しくオープンする患者図書室情報をお寄せください。情報を共有しよりよいサービスの展開をしていきたいと思います。
今年患者図書室オープンを予定している新任担当者からです。
研修会の2日間は夢のように過ぎて行きましたが、出逢った方々や学んだ内容は脳裏に焼きついていて、時々思い返しています。本当に密度の濃い研修だったなと感じています。
「病院図書室勤務4年目の新任(?)」として参加してしまいましたが、基本業務がわからないまま入職していた私にとって、今回の研修は改めて自分の仕事を見直すきっかけとなりました。全ての議題が印象に残っていますが、特に「病院図書室評価項目表」では当室には何が足りないのか具体的に知ることができ、今後に役立てよう!と意気込みを新たにしています。
他にもデータベースの検索実習では、普段1人で悩みながら検索していることを、同じ司書同士相談しながら検索するという光景に感動しました。また研修会2日目のグループセッションではテーマごとに討議を行いましたが、活発な議論ができることがとても嬉しかったです。同業だから分かり合えること、そしてみなさんの仕事への情熱が並ならないからこそ、と感じました。
病院図書室に1人で勤務する人が不安に感じることは、業務に対して「どうすれば良いのか、だれに相談すれば良いのか」ということではないかと思います。病院では縦つながりの1人部署であっても、こうした横のつながりのなかで「1人じゃないんだ」と心強くなれると感じます。研修会から帰ると、「頑張ろう」という気持ちでいっぱいになりました。この研修会を企画・運営してくださったスタッフの方々には感謝と尊敬の念でいっぱいです。与えられた仕事ではない特殊な職場だからこそできる、自分の図書室をつくっていこうと思います。
2010年にはいよいよ当院にも患者図書室がオープンします。「患者図書室サービス入門」で学んだことを皮切りに推し進めていければと考えています。不安なことが出てきましたらご相談させてください。どうぞよろしくお願いします。(N.H.)
伝えること
日本病院ライブラリー協会は、全国約300の会員から構成されています。全国病院数(一般病院数 約7,800)からみてみるとこの数は決して多い数ではありません。5%にも満たない数です。地域ネットワークに加盟している施設数を加えてもその数は約500施設ほどです。ネットワークに加盟していない病院図書室はどこから情報を入手しているのでしょう。新任担当者研修会も一人でも多くの担当者と情報を共有したいというこの思いが開催を進める大きな力でした。
しかし、研修会参加に向けて高いハードルがあることも事実です。地理的な問題もそのひとつです。今回の研修会には北海道や沖縄と北から南まで、多くの地域の方々にご参加いただきました。参加された方のこんな「お土産」もあります。スタッフからです。
11月に行われた新任担当者研修会から瞬く間に時間が過ぎてしまいました。時間が過ぎていった中で自分なりに研修会を振り返ってみたいと思います。
私は、今回PJメンバーの補助的なスタッフとして(スタッフとしては初)、参加しました。当日はスタッフ運営マニュアルを基に、自分の配置につき仕事をしました。今までは、研修を受ける立場でありましたので、ものすごい緊張感の中での参加でした。
せっかく貴重な時間を割いて研修に来られている方たちや、ここまでくるために日夜頑張ってきたスタッフのために、少しでもお役に立ちたいという思いだけが先行してしまい、自分自身がどれくらい動けたかは、今以てわかりません。ただ言えることは、研修会の成功に向けて、このプロジェクトに参加できたことが、私の気持ちの上で、何よりも収穫でした。
新任担当者研修会の後、私の所属する地域ネットワークの研修会がありました。その際に、今回の新任担当者研修会に参加した会員がパワーポイントを使い、素晴らしい報告をしてくれました。このようにして、この活動が広がり、今回参加できなかった担当者たちに還元され、次回に繋がっていくのかなぁ・・・と、ちょっと感動的でした。
One Person Library:OPL(これも研修会からの受け売りです!)は、ややもすると、独りよがりの業務に陥りそうになりがちです。このような研修会によって、自分の仕事がレベルアップするばかりでなく、同じような立場の人と交流ができるなど、改めて研修会の重要性を感じました。(Y.H.)
研修会終了後、いくつかのネットワークで、このような参加報告が行われたとの情報が伝わってきました。研修会にて配布した「図書室評価項目表」(詳細は2009-9-29ブログ参照)の問い合わせもありました。研修会終了後「伝えること」も参加者の大きな役割ではないでしょうか。(M.N.)
用語の解説1:シソーラス
研修会終了後のアンケートに、「専門用語がわからなかった」というご意見・感想がよくあります。今回も何件かご指摘がありました。
病院図書室で使われる専門用語は、経験を重ねて覚えてきたというベテランの方も多いと思います。
その中からよく使われる用語の簡単な解説を数回にわたって、ブログに掲載していきます。
1回目はシソーラスです。1日目の講義「データベース活用」の際にたびたび登場した用語ですので、覚えている方も多いことでしょう。
シソーラス(Thesaurus)は、もともとギリシア語で「宝物庫」を意味する“thesauros”に由来しています。一般的には言葉を同義語や意味上の類似関係、包含関係などによって分類した辞書、あるいはデータベースを指します。
情報検索の分野では同じ意味で、ばらばらに表現されている用語に統一したキーワードを付与し、構造化したものをシソーラスといいます。また、シソーラスは統制語と呼ばれることもあります。
検索を行うときに、シソーラスを知っていることで、より的確な情報を利用者に提供することができます。
わかりやすく具体的な例を挙げてみます。
★A病院のB図書室 看護師さんが図書室に駆け込んできました。「褥瘡」の患者さんがいるので関係の文献を探したい。
どう対応しますか。図書館利用者の心をつかむために、頑張りましょう。
蔵書の資料では不十分でもあり、データベースを使って文献を検索することにしました。「褥瘡」と検索語を入力するだけでは、図書館員ではありません。
論文によって褥瘡、褥創、床ずれ、圧迫性潰瘍、褥瘡性潰瘍などと同じ意味でも様々な言葉で表記されることがあります。褥瘡で検索すると他の圧迫性潰瘍、褥瘡性潰瘍、床ずれと書かれた文献は検索結果として出てこないことがあります。
そこで、褥瘡のシソーラス(統制語)である“褥瘡性潰瘍”を用いることで褥瘡、褥創、床ずれなどと書かれた文献も検索結果に出てきます。
データベースを使って、検索をしてみてください。それぞれどのような結果がでてきますでしょうか。
PubMedではMeSH,医中誌Webでは医学用語シソーラス、JDreamIIではJST科学技術用語シソーラスが統制語の用語集となっています。
シソーラスについての詳しい解説は
・病院図書室デスクマニュアル 第9章 インフォメーション
・ほすぴたるらいぶらりあん Vol.34 No.2 p75-86をお読みください (M.I.)
病院医療機能評価
JHLA研修会では『医療機能評価』について、大変興味をもって出席された参加者が多かったのが印象的でした。
受審にあたっては普段、自分の仕事を評価されることに慣れていない職種だからかもしれません。
緊張したり、不安だったりするのは初めてであっても、2回目であっても、一緒のように感じます。
でも裏を返せば、日ごろ自分が行っている業務を第三者が評価することで、気づかない点を見い出せるチャンスはいくつもあります。
こうしたいなと考えていても、なかなか先に進めないことが、評価をうけることで、一歩踏み出すことができたり、予算や希望を言いやすくなったりするかもしれません。
また、図書室の仕事内容を理解してもらえるよい機会でもあります。
私はそんなふうに捉えて、審査に取り組みました。
研修会のあと、すぐに受審される図書室もあったようですが、いかがでしたか?
みなさんのその後を是非お聞かせいただきたいです。
コメント欄に書き込んでいただけたら幸いです