用語の解説1:シソーラス

研修会終了後のアンケートに、「専門用語がわからなかった」というご意見・感想がよくあります。今回も何件かご指摘がありました。
病院図書室で使われる専門用語は、経験を重ねて覚えてきたというベテランの方も多いと思います。
その中からよく使われる用語の簡単な解説を数回にわたって、ブログに掲載していきます。

1回目はシソーラスです。1日目の講義「データベース活用」の際にたびたび登場した用語ですので、覚えている方も多いことでしょう。


シソーラス(Thesaurus)は、もともとギリシア語で「宝物庫」を意味する“thesauros”に由来しています。一般的には言葉を同義語や意味上の類似関係、包含関係などによって分類した辞書、あるいはデータベースを指します。
情報検索の分野では同じ意味で、ばらばらに表現されている用語に統一したキーワードを付与し、構造化したものをシソーラスといいます。また、シソーラスは統制語と呼ばれることもあります。
検索を行うときに、シソーラスを知っていることで、より的確な情報を利用者に提供することができます。
わかりやすく具体的な例を挙げてみます。

★A病院のB図書室 看護師さんが図書室に駆け込んできました。「褥瘡」の患者さんがいるので関係の文献を探したい。
 どう対応しますか。図書館利用者の心をつかむために、頑張りましょう。
 蔵書の資料では不十分でもあり、データベースを使って文献を検索することにしました。「褥瘡」と検索語を入力するだけでは、図書館員ではありません。
 論文によって褥瘡、褥創、床ずれ、圧迫性潰瘍、褥瘡性潰瘍などと同じ意味でも様々な言葉で表記されることがあります。褥瘡で検索すると他の圧迫性潰瘍、褥瘡性潰瘍、床ずれと書かれた文献は検索結果として出てこないことがあります。
そこで、褥瘡のシソーラス(統制語)である“褥瘡性潰瘍”を用いることで褥瘡、褥創、床ずれなどと書かれた文献も検索結果に出てきます。

データベースを使って、検索をしてみてください。それぞれどのような結果がでてきますでしょうか。


PubMedではMeSH,医中誌Webでは医学用語シソーラス、JDreamIIではJST科学技術用語シソーラスが統制語の用語集となっています。

シソーラスについての詳しい解説は
・病院図書室デスクマニュアル 第9章 インフォメーション
・ほすぴたるらいぶらりあん Vol.34 No.2 p75-86をお読みください (M.I.)