用語の解説3: インパクトファクター

インパクトファクターという用語はよく耳にするのではないかと思います。
ドクターが論文を執筆するに当たって、「インパクトファクターの高い雑誌に投稿したい」とか、図書室でも購読雑誌を選定する際、「よりインパクトファクターの高い雑誌に購入変更する」などと、という会話が交わされているのではないでしょうか。
ただ皆さん、なんとなくはわかっている言葉だと思いますが、いざ説明してと言われると、困ってしまったという経験はありませんか?
今日はそのインパクトファクターについての解説です。

インパクトファクター(impact factor, IF) とは、1955年に情報科学者であるユージン・ガーフィールドが考案した特定のある雑誌が1論文あたり、平均何回引用されているかを算出した数値で、その雑誌の影響度を示した数値です。
トムソンサイエンティフィック社が提供しているWeb of Scienceに収録されるデータを元に算出され、その数値はJournal Citation Reports (JCR) のデータのひとつとして収録されています。
インパクトファクターは Web of Science の収録雑誌の3年分のデータを用いて計算さされています。たとえばある雑誌の2004年のインパクトファクターは2002年と2003年の論文数、2004年のその雑誌の被引用回数から次のように求めます。
A = 対象の雑誌が2002年に掲載した論文数
B = 対象の雑誌が2003年に掲載した論文数
C = 対象の雑誌が2002年・2003年に掲載した論文が、2004年に引用された延べ回数
C/(A+B) = 2004年のインパクトファクター
上に示した計算式にあてはめて具体的な数値をいれてみますと、A,B2年間の論文数合計を1,000とします。それらの論文記事がCに該当する部分、つまり2004年の論文に引用された延べ数ですが、これが500回であった。この数値を最後の計算式にいれて計算すると0.5になります。これが、この雑誌の2004年版のインパクトファクターになります。
インパクトファクターの数値が高い雑誌ほど引用数が多いということとなりますので、雑誌の注目度、影響度を知ることができます。

ただ、インパクトファクターはあくまでも、自然科学、社会科学の学術雑誌を対象とし、Web of Scienceに収録されている雑誌のデータによる評価指標で、収録されていない雑誌についてはカウントされていないこと、個々の論文や著者に対しての評価ではないことなど注意が必要です。